舞台の話

 舞台に行くようになったのは、二十歳を過ぎてから。専門時代の友人に連れて行ってもらったのが基本的な初めて。演目は、オペラ座の怪人だったと思う。
 中学生のころからライブやコンサートには足繁く通っていたので、生で観るということには全く抵抗もなく、むしろ喜んで行った。
 初めて観た「演劇」は、自分が思っていた以上につぼに入り、それからというもの年間10本近く行くほどの趣味になった。

 何だってこんなにはまるのか。簡単である、私は「生の表情」が大好きなのだ。
 ライブに行っても、双眼鏡で表情を凝視してしまう。曲の中で自分の好きな歌詞の瞬間、一体どんな顔をしているのかが観たくなる。表情は、その瞬間の感情を表してるから、その感情が知りたくなる。
 舞台だと、基本的にはセリフ。激昂している瞬間の顔、苦悩している瞬間の表情、爆笑している瞬間の目。そういうのがダイレクトに観れるから、それを観たくて足を運ぶようになった。

 最初のうちは、友人が誘ってくれるのに行くだけだったのだが、そのうち自分でいろいろ選ぶようになって来た。
 その友人は私の好みをよぉく判ってくれているので、外れたことはあまりないが、それ以外にも自分で勝手にチケットを取るようになると、か〜な〜り危険(笑)。
 逆にはずれにあたってみたり、衝動的にチケット取ってしまったりが増えた(^^;)。
 それでも、ついつい優先予約とかのDMが来ると、その場で行けそうな日を考えて金を出す準備をしてしまうほど、どっぷりはまってる。

 こんなにはまるきっかけになった舞台が、「レ・ミゼラブル」だった。
 10年以上のロングランをしていて、それなのにチケット取るのにそれなりに苦労するほどの舞台。
 それが納得できるほど、レミゼは観る価値があるといまだに思っている。
 名前だけは知っている人や「ああ無情」と言う日本語タイトルは知っている人は多いだろう。
 でも、あれは舞台で観てその価値がわかるものだと思う。つうか、観ないと損する(本気)。
 舞台装置が凝っているとかそういうのは抜きにして、役者たちの舞台にかける意気込みや情熱がもろに判るあれ以上の舞台を、多分私は観たことがない。

 レミゼに行ってから、他のいろいろな舞台が観てみたくなり、今の舞台遍歴が始まった。
 と言っても、結構偏った観方しかしてない(笑)。
 どこかの劇団をマメに観に行くというのもほとんどしないし(例外は、地球ゴージャス)、追っかけもしない。
 ただ、雑誌やネットや友人情報を確認して「あ、俺これ好きそう」と思ったものを取る。
 比較的よく行くのは劇団四季だが、それも演目次第では一年行かないことだってある。

 哀しいときに哀しい表情をするのは誰でもできる。舞台では、表情だけでなく全身も観れる。
 照明の技術でそのときの感情を表してるのを判ることができる。
 手の動きで、脚の動きで、顔の表情で、今リアルタイムに舞台上でどんな感情が動いているのかが判るのが、きっと好きなんだと思う。
 その表現力を引き出す脚本と演出を、生で感じることはできるのが、楽しんだと思う。

 行ったことにない人は、ぜひ一回舞台と言うものに触れてみるといい。多分、知らない世界がそこにあるはず。
 はまるかどうかはその人次第。選択肢の一個として一回選んでみるのも、きっと悪くない。
 生の魅力に取り付かれれば、確実に新しい世界観を持つことができると、私は思っている。

020118