AGITOの話

(特撮の話 2)


今後、何があっても一生一番好きな特撮と明言し続けることにした。
よもやここまではまるとは全く思ってなかったし、ここまでいろんなことを学ぶとは思ってなかった。
ある意味、人生観まで変えるほどの影響を受けた特撮番組である。

いわゆる仮面ライダーシリーズではあるが、自分が子供の頃に再放送で観た1号やストロンガーとはイメージが全く違う。
一話完結でもないし、話の内容も子供向けにしては重く難しいものだ。
だからこそ、はまることが出来たように思う。
子供向けだからはまらないかといえばそうでもないんだけど…。

基本的に、何にはまるにしても私の場合は「キャラ重視」である。
はまれるキャラがいて、初めて全体にはまるというのが多い。
AGITOの場合、一番最初にはまったのは主人公の「津上翔一」だった。
普通に、自分の好みの顔だったから(苦笑)。やっぱ最初は顔で(^^;)。
3週間くらい観ないまま、またふと思いついて観てみたのが、ちょうど涼の切ない回(5話)。
これであっさり「葦原涼」というキャラにはまった。

実際、自分がこんなに「切ない系キャラ」が好きだとは知らなかった。
AGITOの中では最も切ない状況で、その心情をはっきりと表情でみせているからかもしれない。
何を観るにしても、表情を重視する傾向があるから、役者の友井の表情に、本気で参った。
友井の芝居ははっきり言って及第点以下のような気もするが、それを補って余りある「表情」。
セリフよりも、はっきりと伝えてくるそれが、はまった最大の理由。

自分は、AGITOの中だったら絶対に、「ギルス」になりたい。
いや「ギルスである葦原涼」になりたいと思う。
AGITOを観ていた人は、涼になりたいと思う人は少ないような気がする。
ストーリー上の悲劇を全て背負わされたような、救いの少ないキャラ。
それでも、自分はなるんだったら涼になりたいと思っている。
どれだけの悲劇を経験しても、どれだけ救いがなかったとしても、全てにおいて諦めることを知らない。
それだけで、私にとっては羨ましいように感じたから。
なれるものなら、涼のようになってみたいと切に思ってしまった。

毎週観るたびにいろんな謎が出ては解決していく展開も、惹きつけられた要因だろう。
最後のほうは詰め込みすぎで謎が解けてない部分もあったが、基本的にはいいテンポでさくさくと進んでいった。
テンポがいいものは、観ているほうも気持ちがいい。
さらに、戦いだけではなく、それに臨むものたちの真情までも明らかにしている作り方は、自分はものすごく好きだ。
その中に含まれているものを、こちらが感じ取ることが出来るように展開していたし。


AGITOがなかったらこのサイトを作ることもなかったかもしれないし、今のように思いつくままに文章を書いていくこともなかったかもしれない。
特撮というジャンルは未知のもののまま、はまれるはずなのにそれに気がつかなかったかもしれない。
そういう意味でも、AGITOにはまれたことは自分の中ではとてもいいことだった。
そして、「葦原涼」というキャラにはまったことが、一番いいことだったように思えている。

番組も終わり、ビデオやDVDだけで楽しむようになったとしても、何かの折にAGITOは必ず思い出す。
そう言い切れる自信が、妙にある。

020207